今日からはじめる、スキンケア

スキンシップ クリニック

アレルギーは完全には解明されていません。でも、少しずつ色々なことが分かってきています。数年前から、お肌を元気にきれいに保つことでアレルギーの進行が抑えられるというデータが多数出てきました。

今回はアレルギー進行を抑えてくれる、スキンケアについてまとめました。

スキンケアとは?

赤ちゃんの皮膚の厚さは成人の半分〜1/3しかないと言われています。中学を卒業する頃には成人と同程度の厚さになると考えられていますが、子どもは皮膚が薄い存在といえます。

また、皮膚表面には皮脂がたくさん存在して、水分の蒸発を防いだり外からの刺激から皮膚を守ってくれています。皮脂量はホルモンバランスにより分泌量が大きく異なります。赤ちゃんは性ホルモンのバランスの関係で「皮脂が少ない」存在と言えます。
※産まれた直後はママからのホルモン移行で、逆に皮脂が過剰な時期(→脂漏性湿疹が出来やすい)もあります。

二次性徴が始まり性ホルモンの分泌が増えると皮脂が増えるので、その頃までは保湿を中心にスキンケアをしっかりと行いましょう。ちなみに中学生くらいになるとニキビができやすくなるのは、皮脂が増えることも一因です。

ニキビで悩む女の子

赤ちゃんのお肌は、、

皮膚が薄い
皮脂が少ない

この2点が子どもと成人の皮膚の大きな違いです。

皮膚が薄く、皮脂が少ないせいで、乾燥した皮膚は、外部からの刺激に非常に敏感になっています。その結果、バリア機能が弱くなってしまうのです。

バリア機能の弱った皮膚からは、アレルゲンもたくさん侵入してきてしまいます。

皮膚をスベスベしっとりの状態に保つことは、アレルギー予防にもつながります。

将来にわたるアレルギーの進行を食い止める第一歩としても、日々のスキンケアはとても大切です。今回は、アレルギー進行に欠かせない考え方である《経皮感作》については言及しませんが、スキンケアは皮膚のバリア機能を高めるとても大事なアレルギー診療の第一歩です。

スキンシップの重要性

お子さんのお肌をたくさん触ってあげてください。

スキンシップ

一見キレイに見えても、触ってみると「カサカサしてたり、ざらつく感じがある」時はスキンケアが不十分だったり、皮膚の内側で湿疹が進行している可能性もあります。触り心地が良くない時は、かかりつけの先生に相談してみましょう。

赤ちゃんや子どもたちの皮膚をよく保つのに、保護者のスキンシップ(手のひらで触ってみる)は大切だと思います。触ってみて、「スベスベ・もっちりしたお肌」が理想のお肌です。触り心地を意識してスキンケアを実践しましょう。

すでにスキンケアを行っていて、お子さんのお肌がスベスベ・もっちりしていればバッチリです!頑張って今のお肌をキープしてあげてください。

※スキンケアと関係はありませんが、肌に触れるという刺激はお子さんの心の安定にも良い影響を与えると考えられます。スキンケアの一貫として、たくさんお肌に触れてあげることは、皮膚だけでなく、心も育てるかもしれません。

いつから始めるべきか?

それでは、今まだスキンケアを行っていないという場合は、いつから始めるべきでしょうか?

今日からです。

たとえ昨日までスキンケアが不十分で乾燥していたり、バリア機能が弱っていたとしても、今日からきちんとスキンケアすれば大丈夫です。必要に応じて、保湿剤だけではなく炎症を抑える塗り薬を使用することもあるので、湿疹が目立つ場合は皮膚科や小児科に相談しましょう。

そういった症状がないお子さんならば、まずは市販の保湿剤でも大丈夫です。すぐに受診できない場合もあると思いますので、薬局や赤ちゃん用品販売店等で保湿剤を購入して全身(顔も)に塗ってあげてください。何を選べばよいかわからない場合はひとまず「白色ワセリン(プロペト)」が良いと思います。

高い保湿力
副作用の少なさ
継続しやすい価格帯

このような点から、多くの赤ちゃんのお肌に適していると言えます。薬局や赤ちゃん用品店で手に入りやすいというのも大きなポイントだと思います。

全身に塗って、皮膚をしっかり保護してあげましょう。

ワセリン

スキンケアをいつから始めるか悩むとしたら「今日がベストなタイミング」です。是非、今日からお子さんの肌のケアを見直してみましょう。

出産前からの準備も大切

いま妊娠中の方・妊娠を考えている方には、出産前からの準備も提案します。

なぜなら、赤ちゃんはママのお腹にいる時は、清潔な羊水の中で完全に守られた状態で過ごしています。

胎児

ところが、産まれた瞬間に

乾燥した空間で、
目に見えない汚れやバイ菌
その他、様々な外部刺激

が赤ちゃんに降りかかります。

赤ちゃんの皮膚へのダメージは、お母さんのお腹から出てきたその瞬間から始まります。できるだけ早めにスキンケアを始めてあげてください。

出産直後は、ゆっくり買い物に行く時間もなかなか取れません。出産準備のリストの中に保湿剤を入れておいてほしいと思います。

何を選べばよいか迷ったら、上述したように、まずは白色ワセリン(プロペト)がオススメです。ぜひベビー服やおむつ等々と一緒に、保湿剤のご用意も検討してみて下さい。

スキンケアの方法

スキンケアのポイントは保清・保湿・保護の3点です。

‐保清‐
保清とは、皮膚を清潔に保つことです。皮膚は常に様々な異物(汚れ)から私達の身体を守ってくれています。この異物の中にはアレルゲンや感染症を引き起こす微生物も多く含まれます。ポイントはきめ細かい泡で優しく洗うことです。お母さんやお父さんの手で優しく洗ってあげてください。ゴシゴシ洗いは必要な皮脂まで落ちてしまうので厳禁です。また、長湯しすぎても皮脂が落ちてしまいますので、長湯は避けてシャワー浴で済ませるのも手です。
‐保湿‐
保湿とは、皮膚に水分を与えて潤いを保つことです。赤ちゃんのお肌は薄くて皮脂が少ないため乾燥しやすいのは前述した通りです。放っておくと乾燥が進行して、バリア機能が低下してしまいます。保湿剤を使って皮膚に潤いを与えてあげましょう。ポイントはしっとりするように十分な量を塗ることです。多くの方は塗る量が足りていないようです。特に入浴後は肌の水分が急速に失われるため、あまり時間を置かずに全身へたっぷり塗ってあげましょう。
‐保護‐
保護とは、皮膚を外部の様々な刺激から守ることです。ワセリンなどで皮膚表面に薄い膜を作り、皮膚を保護することができます。ここでも、ポイントは刺激を受けないようにたっぷりと塗ってあげることです。刺激を受けてからではなく、受ける前に塗ることが大切です。口周りは食べこぼしやよだれによる刺激を受けやすいので、離乳食の前に保護してあげることも効果的です。しっかり保護してあげることで、外からの異物侵入を物理的にブロックするとともに、体から水分が蒸散するのを防ぐことができます

実際には保湿成分を持った薬剤(ヘパリン類似物質や尿素配合剤など)と、ワセリンなどがまざった軟膏やソフト軟膏などで、保湿と保護を同時に行っていることが多いと思います。

塗り薬は「塗る量」が重要

軟膏やクリームを、人差し指の先端から1つ目の関節の長さまで出した量を1 FTU(フィンガーチップユニット)と呼び、この量が0.5gに相当します。ローションの場合は1円玉を手の平に出した量が0.5gに相当します。この量で、成人の手の面積約2枚分に塗れます。

1FTU=0.5g=大人の手の平2枚分の面積に対する軟膏の適切な量

1FTUの説明シオノギヘルスケア:ヒフシルワカルより抜粋

私は、これを目安にして処方量を決めていますが、多くの方は余らせてしまっているようです。これよりも少ない量だと効果も期待できないことがあるので、しっかりと塗ってあげましょう。

保湿剤は様々な剤形があります。ソフト軟膏、クリーム、ローション(乳液タイプ)、ローション(化粧水タイプ)、スプレー、泡、その他にメーカーによって基材が異なることもあります。また、季節や肌質、現在の症状によって、最適な保湿剤の形は異なります。時間帯によって種類を変えるのも良いと思います。例えば、夜はしっとりさせるためにソフト軟膏で、朝はさっぱりしたローションを使うなどです。お子さんにあった方法を見つけてあげましょう。

湿疹ができたら

どれだけ気をつけていても、赤みやジュクジュクした湿疹が出きてしまうことがあります。

湿疹と皮膚炎は医学的には同じ意味です。皮膚表面に起きる炎症の総称ですが、保湿剤や保護剤に炎症を抑える効果はないため、もしお肌に赤みやブツブツが出てきたら、早めに『炎症を抑えるための治療』を追加しましょう。

塗り薬を塗ってる子ども

湿疹があれば、痒くなります。子どもは痒くなると我慢することなく掻きむしってしまいがちです。掻きむしると更に表面が荒れて湿疹は増悪します。しかも、掻くという行為は痒みの神経繊維を刺激してパワフルにしてしまい、もっともっと痒くなります。アレルギー細胞も活発になってしまうことが分かっています。しかも、バリア機能が低下して、アレルゲンが皮膚に侵入しやすい環境にもあるため、アレルギーが進行しやすくなってしまいます。

このように、湿疹を放置すると悪循環に陥ってしまいます。湿疹治療も早期介入が大切です。

湿疹治療の中心はステロイド外用薬(塗り薬)です。アトピー性皮膚炎では慢性的な湿疹が問題となるので、ステロイドの長期使用が懸念されますが、近年では非ステロイド性のアトピー性皮膚炎治療薬も増えています。

湿疹で悩んだら、早めにかかりつけの先生に相談しましょう。

まとめ

赤ちゃんのお肌の状態をよくすることは、アレルギーの進行を食い止める可能性があります。

是非、今日からお子さんのスキンケアを始めてもらえれば嬉しいです。

寒川・茅ヶ崎、その他のエリアでも、お子さんの皮膚トラブルやアレルギー、その他お体のことでお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。 元気なお肌作りを、小児科/アレルギー科かかりつけ医として全力でサポートします。

 

参考ページ

食物アレルギー診療ガイドライン2021‐第6章リスク因子と予防

新生児期からの保湿剤塗布によるアトピー性皮膚炎の発症予防に関する研究

マルホ株式会社 もっと知ろう!乾燥肌

 

 

タイトルとURLをコピーしました