インフルエンザワクチンについて

クリニック

今回はインフルエンザワクチンについて、昨年のブログを一部修正して改めてお知らせします。

インフルエンザワクチン、なぜ接種するの?

インフルエンザワクチンを接種する目的は2つあります。

①発症を防ぐこと

②重症化を防ぐこと

車で例えるならば、「安全性能の低い車を、安全性の高い車にする」のがワクチン接種です。
発症を防ぐ  自動ブレーキのように交通事故に遭わないようにする
重症化を防ぐ  エアバッグのように事故に合ってもケガをさせない

特に乳幼児や基礎疾患をもつお子さんや高齢者の方・妊婦は、インフルエンザが重症化しやすいとされているためワクチン接種が強く推奨されるのです。 擬人化したワクチン

従来の注射による不活化ワクチンは、インフルエンザウイルスを構成する成分の一部を取り出したものです。体内に注射すると免疫細胞がインフルエンザウイルスの一部を認識することで、インフルエンザウイルスに対する抗体を作って戦う準備をしてくれます。 そうすることで、実際にウイルスが体内に侵入した際に、速やかにこの抗体が働いて重症化を防ぐのです。毎年接種が必要なのは、流行するウイルスの型が変化するためです。

そのシーズンの流行株に合わせてワクチンは作られます。令和6年度までは、A型2株、B型2株に対応した4価ワクチンが主流でしたが、令和7年度からはA型2株、B型1株に対応した3価ワクチンとなっています。
※近年、流行がみられないB型の1系統(Yamagata)を採用しなくなったためで、4価から3価になったことで予防効果が低下するとは考えられていません。

新しいインフルエンザワクチン

従来の注射型ワクチンが苦手なお子さんに、朗報といえるのが鼻腔内にスプレーする経鼻生インフルエンザワクチン『フルミスト』です。

フルミスト これは弱毒生ワクチンに分類されるもので、生きたインフルエンザウイルスを弱めた(弱毒化した)ものを鼻の粘膜に投与することで実際に弱く感染させる形で免疫反応を誘導します。これにより、鼻や喉の粘膜において直接的にウイルスの侵入を防ぐ局所的な免疫が作られやすいという特徴があります。

そんな、フルミスト最大のメリットは何と言っても痛くないことだと思います。

注射の痛みや恐怖心が原因で、予防接種を嫌がるお子さんは少なくありません。その点フルミストは両鼻にわずか0.1mlずつスプレーするだけなので、子どもたちの負担が大幅に軽減されます。また、接種は1回で済むため通院の手間が省けるという利点もあります。

2つのワクチンを比べてみる

①経鼻生インフルエンザワクチン「フルミスト」

フルミストは上述したように痛くないという大きなメリットがある一方、残念ながらいくつかデメリットも存在します。

まず、生ワクチンであるため接種後に軽い風邪のような症状(鼻水、鼻づまり、咳、頭痛、発熱など)が出現することがあります。風邪症状は、弱毒化されたウイルスが体内で増殖することで起こる免疫反応であり、ほとんどは軽度で一過性のものですが鼻水・鼻づまりなどは半数以上で出現するとも言われます。風邪の牛 そして、生ワクチンであるため弱い感染が成立した状態になってしまうため、フルミスト接種後のしばらくの間(〜4週間程度)はワクチン由来のウイルスのせいで、迅速検査が陽性となる可能性があるため注意が必要です。

さらに、接種対象年齢にも制限があり、2歳以上19歳未満が対象となります。また、妊娠中の方・免疫不全状態にある方も接種できません

その他にも、喘息の既往があるお子さん、あるいは重度の免疫不全状態にある方と同居している場合には、当院ではフルミストではなく不活化ワクチンを推奨します。

②注射による不活化ワクチン(従来のワクチン)

注射である不活化ワクチン最大のデメリットはやはり痛みではないでしょうか。 お子さんが注射を嫌がることは保護者だけではなく、私達医療者にとっても出来れば解消してあげたい課題です。(実際に私の子どももワクチンは大嫌いで接種のたびに大暴れです…) 注射を打つ男の子

しかし、その一方で不活化ワクチンにもメリットは数多くあります

まず、最も重要なのは、その安全性と有効性の実績です。何十年にもわたり日本国内で広く使用されてきた歴史があり、そのデータが豊富に蓄積されています

また、生後6ヶ月から高齢者や妊娠中の方、さらには喘息や免疫不全など基礎疾患を持つお子さんなど、多くの方が接種できる点も大きな利点です。

しかも副反応は、発熱や接種部位の腫れなどがありますが、生ワクチンと異なり体内でウイルスが増えることで起こるワクチンによる風邪症状は起こりません。 さらに、費用は2回打つ場合でもフルミストよりも安く済みます。

どちらを選ぶ?

当院では以下の点を参考にしてご家族で決めていただくのがいいと考えます。

・とにかく痛みを少なく ・費用は割高でもよい ・通院回数を減らしたい 経鼻生ワクチン:フルミスト
・いままでの実績を重視 ・喘息の既往がある ・周囲に免疫不全の方がいる ・周囲に妊娠中(予定)の方がいる ・費用が気になる注射型の不活化ワクチン

なお、それぞれの価格ですが

注射による不活化ワクチン 1回接種:3000円 2回接種:5000円(2回総額) 経鼻生ワクチンのフルミスト 1回接種:8000円

ただし、いずれも当院における価格ですので、実際の費用は接種予定の病院でご確認ください。 ここまでご紹介しましたが、『結局うちの子にはどちらがいいの?』と迷われる方も多いと思います。二択少しでも参考になればと思い、診療の場でも説明の補助に使えるように、完全に私見ですがフローチャートを作成してみました。あくまで参考までに。 ワクチンのチャート 注射による不活化ワクチンは、長年にわたり日本国内でも広く使用され有効性と安全性が確立されています。一方、フルミストは痛くないという大きなメリットがある一方で、接種後の風邪症状、インフルエンザ検査の陽性反応、適応の狭さ等のデメリットも多くあります お子さんの特性やご家庭の状況によって判断は大きく異なります。慎重に比較検討した上で決定してください。気になることがある方は、信頼できるかかりつけ医に相談してみましょう。

まとめ

インフルエンザワクチンはお子さんを守るための大切な予防策です。

どちらのワクチンを選んでも十分な効果が期待できるので、どちらも間違いではありません。

今回のブログを参考にして、自分たちに適していると思うものを接種してあげてください。 悩ましい時は、かかりつけの先生とよく相談するのもよいと思います。

安心してインフルエンザシーズンを迎えるために、今回のブログが参考になれば嬉しいです。 寒川・茅ヶ崎・藤沢・平塚で子どもの風邪、長引く咳、アレルギーのこと、そのほか健康のことでお困りの方はお気軽にご相談ください。 スクリーンショット-2022-09-03-1.44.03-650x467.jpg

参考文献 日本小児科学会「インフルエンザ予防接種の推奨と注意点について」:https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20240909_keibi_i_vaccine.pdf CDC「Seasonal Flu Vaccine Basics」:https://www.cdc.gov/flu/vaccines/index.html 世界保健機関(WHO)「Influenza (seasonal)」:<https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/influenza-seasonal>

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