前回からの続き記事になります。
前編はこちら↓↓
自宅での対応
もし、熱が出ても(前回のブログで書いたような)注意すべき危険な症状もなく、全身状態が悪くないようなときには慌てて受診しなくても大丈夫です。
そのようなときに自宅で出来ることをまとめます。
熱は出始めと上がりきった後とで対応が異なりますので、段階別に説明します。
【熱の出始めで寒気がするとき】
出始めは、体が熱をあげようと頑張っている状態です。熱を外に逃さないために、最初のうちは寒気がして手足が冷たくなったり体がブルブルと震えたりします。
このような状態のときは布団をかけたり部屋を温めたりして熱が上がり切るのを手伝ってあげましょう。ただし、温めるのはほどほどにしてください。厚着しすぎたり温めすぎると必要以上に熱が高くなってしまうので気をつけましょう。
【熱が上がりきったあと】
上がりきると今度は手足もポカポカと温かくなり、汗をかきはじめると思います。そうしたら薄着にして、お子さんが嫌がらなければ冷やしてあげるといいでしょう。冷やすときには氷嚢(タオルでくるんだ保冷剤で可)や水枕などで首や脇の下、足の付根などの太い血管が走っているところを冷やしてあげると効果的です。
【解熱剤の使い方】
ところで、解熱剤の目的はなんでしょうか?
これは「熱による不快感を減らす」ことに尽きます。病気自体を治す効果や、重症化を予防する効果は実証されていません。
ですが、不快感を減らすということは大切なホームケアです。薬局でも子ども用の解熱剤(熱冷まし)を入手することは可能です。年齢や体重によって使用量は変化しますので以前に買って半年以上経ったものを使用するときなどは注意しましょう。
解熱剤を使うタイミングは体を冷やすタイミングと同じです。熱の出始めに使うと逆にしんどくなってしまうこともあるので熱がピークになって体がぽかぽかと暑い、汗をかいているといった時に暑さの不快感を解消するために使用しましょう。何度以上で使うかは意見が分かれると思いますが、個人的には38.5℃以上で熱のせいでしんどい時に使うとよいと考えています。逆に40℃あっても元気なら使用する必要はありません。
どちらの方が効くのかという質問を受けることがあります。座薬のほうが効きそうな気がする方も多いと思いますが、実際には効果の差はほとんどありません。(Arch Pediatr Adolesc Med.162(11):1042-6,(2008))
薬の経路を気にする必要はないので、使いやすい方を選択するのがよいでしょう。
【水分のとり方】
発熱時は汗や不感蒸泄(目に見えない水分喪失)が増えます。熱が高くてつらいと水分や食事を摂ることもままなりません。脱水を心配されると思いますが、激しい下痢や嘔吐などで水分が体から大量に出ていく状況じゃなければ、そんなにすぐに点滴が必要な高度の脱水になることはありません。食欲がなければ無理して食べなくても水分をうまく取れていれば2,3日は大丈夫です。ただし、水やお茶だけでは塩分や糖分が足りないので経口補水液(OS-1など)、100%りんごジュースを半分程度に薄めたものなどを少しずつこまめに飲ませてあげましょう。もしこれらが口に合わなければお水やお茶にプラスして、スープや味噌汁、アイスやゼリーなど甘いものなどで塩分・糖分を追加補充でも大丈夫です。
【それでも熱が続くとき】
元気そうでも熱が続くときには、まずはかかりつけ医を受診しましょう。慌てて総合病院などに行く必要はありません。かかりつけで診察してもらい検査が必要なときや入院を検討するような状況であれば紹介状を書いてもらった上で総合病院に行くとよいでしょう。
なぜ、熱が続くと元気でも受診しなければいけないのでしょうか?
咳を伴うときは肺炎合併
胃腸炎のときなどは脱水が進行
川崎病などの小児特有の病気
専門的な検査が必要な特殊な病気
このように、熱が続いているときには重い病気が隠れている可能性があります。(もちろん診察や検査の結果をみると全然問題なくただの風邪が長引いているだけのことも少なくありません)
なので熱が続くときには受診したほうがよいのです。目安は3〜5日以上続くときです。
※ただし、赤ちゃんではおしぼりなどが顔にかかってしまい危ないこともあります。また、冷却シートのようなものは幼い子供につけた場合に親が見ていない間にズレて口を塞いで窒息してしまった事例や、飲み込んでお腹の中で膨張してしまった事例の報告もあります。
いずれにしても長く目を離すときなどはくれぐれも気をつけてください。
まとめ
このようなときはすぐに受診!
状況によっては救急車要請も検討。
これらにあてはまるものが一つも無く、元気さがあればお家で様子をみても大丈夫です。
もしも、様子を見ている間に・・・
・熱でぐったりしている様子
・咳や下痢・嘔吐など付随する症状がある
これらのときは元気そうでも早めにかかりつけ医を受診しましょう。※
※いまではオンライン診療が多くの施設やアプリなどで行われています。軽い症状のときにはオンライン診療でも問題ないと思いますので上手に使い分けるのも良いと思います。
自宅で看病するときは・・
寒川・茅ヶ崎で子どもの健康のことでお困りの方はご相談ください。
❐ 熱が上がりきったら冷やしてあげましょう
❐ 解熱剤は熱の不快感をとる目的で使う
❐ 解熱剤も熱が上がりきってから使うと効果的
❐ 解熱剤は座薬でも飲み薬でも大丈夫です
❐ 水分だけではなく塩分・糖分も摂りましょう
❐ 熱が3〜4日以上続くときは元気そうでも受診