赤ちゃんの頭の形
ヘルメット治療について

頭をなでられる赤ちゃん クリニック

赤ちゃんの頭の形の問題は、ママやパパが子育て中に直面する身近な悩みの一つです。はっきりとした答えもなく、小児科医によっても考え方が違うことも少なくないと思います。

悩むポーズの人形

今回は、乳児の頭の形の問題とその治療法としてのヘルメット治療について考えてみます。

※当院ではヘルメット治療を行っていないため、客観的な立場で書こうと思います。

頭蓋変形の原因

乳児の頭は非常に柔らかく、成長に伴って形が変わりやすい特性があります。特に、生後数ヶ月間は頭の形が左右非対称になることがあり、これを【頭蓋変形】と呼びます。

頭蓋変形は下のような環境によることが多いです。

☑向き癖
常に同じ方向を向いていることで特定の部分に圧力がかかり続け、頭の形が歪んでしまうことがあります。
☑妊娠中の環境
初産や切迫早産、双胎児(双子)等の場合には子宮のスペースが狭くなりやすいため頭に圧力がかかってしまいます。

妊娠中の環境を変えることはできませんが、出生後の向き癖についてはいくつかの予防法が推奨されます。

向き癖の改善
赤ちゃんはママやパパが大好きです。

親子コアラ

ついついそちらばかりを向いてしまうと思うので、ベッドの向きを変えて反対を向くようにしたり、いつも向いている方向と反対側にお気に入りのオモチャを置いて興味を引いてみるとよいでしょう。

それからタミータイムもオススメです。
※目を離す時は絶対に仰向けに戻して下さい

タミータイムとは?
タミー=お腹です。
日本語にすると「うつぶせ遊び」「腹ばい練習」と呼ばれます。
うつぶせの時間を作ることで首や背中などの筋力アップに繋がり、首すわり・寝返り・おすわり・ハイハイといった発達のサポートにつながる可能性が示唆されています。
参考URL:タミータイム – 赤ちゃんのはじめてのからだ遊び(ボーネルンド)

うつぶせ赤ちゃん

乳幼児突然死症候群の予防のため近年は赤ちゃんを仰向けに寝かせることが推奨されますがどうしても向き癖が問題になってしまいます。そこで、頭蓋変形防止のためにタミータイムが推奨されます。

赤ちゃんが楽しんでいない状況では強制せずに、遊びながら楽しく自発的な動きを獲得させることが大切です。

そして、最も大切なことは乳幼児突然死症候群を予防するために目を離すときや寝るときには必ず仰向けに戻して下さい。

※目を離す時は絶対に仰向けに戻して下さい(重要なので2回書きました)

ヘルメット治療

変形頭蓋の治療として最近多く行われるのがヘルメット治療です。

この治療法は、患者ごとにオーダーメイドで作成されたヘルメットを乳児の頭に装着することで、頭にかかる圧が均等になるようにガイドして良い形になるように促すものです。

参考URL〈ベビーバンド〉
https://www.babyband.jp/

頭が柔らかいうちの治療開始が推奨されています。また、成長してしまうとヘルメットを自分で外すようになってしまうため着用できなくなることも問題となります。

治療の流れ

  1. 診断: まずは診断からです。精確な頭の形の評価が行われます。CTスキャンや3Dイメージングを用いることが多いです。
  2. ヘルメット作成: 頭の形に合わせたカスタムメイドのヘルメットが作成されます。安全で快適に装着できるように一人ひとり個別に設計されます。
  3. 装着と調整: ヘルメットは入浴以外は極力一日中(23時間程度)装着し、1週間に1度程度の頻度で調整が行われます。これにより、頭の成長に合わせた微調整が可能です。
  4. 定期的なフォローアップ: 治療期間中は、定期的にフォローアップのための診察が行われます。治療の進捗を確認し、必要に応じてヘルメットの調整を行います。

ヘルメット治療の利点と欠点

利点

マル

  • 効果的: 頭の形を改善することが大きく期待できる。
  • 非侵襲的: 手術を必要としないため、リスクが低い。
  • 安心感: 専門の医療機関で相談できるため一人で悩まずに済む。

 

欠点

  • 費用: 保険が適用されないため、一般的に治療費は高額となります。
  • 皮膚トラブル: 頭に長くヘルメットをするので蒸れて湿疹ができやすいです。
  • 装着のストレス: 長時間の装着が必要なため、乳児や親にとってストレスとなることがある。

まとめ

頭の形の問題において、ヘルメット治療は正しく行えば効果的で安全な治療法と思います。

個人的には・・費用面も含めると誰にとっても最適な治療とは今はまだ言いづらいとも思いますし、頭の形も含めて個性と言いたいところです。
ただ、程度によっては成長したときに見た目の問題が多感な時期の子どもたちの心に影響を与えることもあるかもしれません。私が小児科として働き始めた頃と今とでは
・ヘルメット治療が確立された
・見た目に対する子どもたちの捉え方
というところで考え方も大きく異なっていると思います。

頭の形が気になった時は、まずは健診の時やかかりつけの先生に相談してみましょう。
そして、症状の程度によっては頭の形を詳細に評価できる医療機関を紹介してもらい、ヘルメット治療を行う専門の先生と話した上で家族で方針を決めるべきだと思います。

当院では原則として予防接種以外の自由診療は行っておらず、ヘルメット治療の経験もありませんので頭の形でお悩みの方には紹介を行います。
ご希望の方はお気軽にご相談ください。

主な紹介先
伊勢原協同病院小児科

また、最近ではスマホアプリで頭の形を測定して治療が必要かを判定するアプリもあるようです。
iOS版
Android版

いろいろな情報が手に入ることは良いことも多い反面、不安が増強されることも少なくありません。気になることは遠慮せずかかりつけの小児科に相談して楽しく笑顔で子育てをしていきましょう。

寒川・茅ヶ崎・藤沢・平塚などで子育てのこと、子どもの風邪、アレルギーのこと、健康のことでお困りの方はお気軽にご相談ください。クリニックロゴマーク

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