風邪について①
原因は細菌じゃなくて、ウイルスです。

小児科

風邪について

 

9月に入って、少しずつ秋めいた日も出てきました。

紅葉のイラスト
季節の変わり目はいわゆる

「風邪の季節」

ということで、今日はアレルギーではなく小児科や内科で一番診察する機会が多いであろう風邪について書いていきます。

鼻水の出ているヒヨコ

風邪の季節?

冒頭で秋から冬の季節の変わり目は風邪の季節と書きました

が、

実を言うとここ数年は冬場の厄介な風邪の代表選手【RSウイルス】は夏の7月に流行するようになってきました。

ひまわり

今年はヒトメタニューモウイルスという これまた厄介な風邪のウイルスが夏に流行ってしまい、新型コロナウイルスとの見極めが大変でした。

少なくとも秋や冬だけ風邪に気をつければよいという時代ではなくなった

かもしれません。

そもそも風邪とは

さて、そもそも風邪とはなんでしょうか?

風邪とは正式には

風邪症候群

といいます。

症候群がつくだけです。

風邪の主な症状は

・ノドの痛み
・鼻水
・咳
・発熱

です。目には見えない病原性微生物がその原因となります。原因は一種類ではありません。病原微生物と一口に言っても数え切れないくらいたくさんの種類がいます。

ただ、原因は色々あるにせよ軽い病気だし基本的には自然と治るものだから、

いちいち区別せずに、こういう症状を起こすものはまとめて考えよう!

ということで、同じ症状のグループとして

風邪“症候群”

と名付けられています。

かぜ症候群のイラスト

症状はノドの痛み・鼻水・咳・熱など
原因となる病原微生物は数え切れない
基本的には軽症で数日で自然に治る

風邪は医学的には風邪症候群。

ですが、実際に医療の現場で風邪をこのような正式名称で聞いたことはありません。。

医者のイラスト

他にも風邪は 感冒(かんぼう) と呼ばれることもありますが、こちらはポルトガル語で風邪を意味する「Canbo」から来ているそうです。調べてみると他にも ビスケット🍪 や タバコ🚬 なども語源はポルトガル語だそうです。身近にたくさんあって面白いですね。

風邪の原因:細菌とウイルスの違い

病原性微生物と一口に言っても色んな種類があります。

ウイルスとかバイキンの表

このように分類されますが一般的にはウイルスと細菌が問題となります。

真菌(カビ)については驚かれるかもしれませんが、カンジダなど赤ちゃんの おむつかぶれで問題となることがよくあるので耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。

 

では、風邪症候群の原因となる微生物は?

風邪の原因は

90% 以上がウイルス

です。

そして、風邪を起こすウイルスは400種類以上います。

黒板に400種類以上とメモ書き

これじゃあ何度も風邪にかかってしまうのも仕方ありません。

とくに保育園や幼稚園などに通い始めたばかりの子どもたちは、それまでに出会ったことのない風邪のウイルスに接する機会が増えてしまいます。一緒に過ごすクラスメートたちと風邪ウイルスをお互いにやり取りすることになります。

風邪にかかる時はおそらく違う種類のウイルス(たとえばライノウイルスとRSウイルス、パラインフルエンザウイルスなどなど)にかかっているのですが、

風邪は【症候群】

なので違う種類のウイルスにかかっても毎回同じような症状(ノドの痛み・鼻水・咳・熱など)を起こしがちです。

同じウイルスによる症状を繰り返しているように思うかもしれませんが、実際には毎回違うウイルスに出会って免疫力を強化しているとも言えます。(ウイルスが体に入ってきても発症しないで免疫力だけ強化されていくこともあり、4-5歳になると風邪をひきにくくなります

園児が並んでいるところ

だからと言って風邪を引くことがよいことだとは言えません。感染が成立するにはウイルスの量と経路そして免疫力が関係します。この点については感染症について②で改めて。

https://samukawa-kodomo.jp/blog/2022/09/10/風邪について②/

 

ウイルスって何者?

ウイルスはとても小さな小さな病原体です。生物といってよいか意見が分かれる存在でもあります。

ウイルスとか花粉とかの大きさ比較図

ウイルスはこのようにめちゃくちゃ小さいです。目に見えない花粉よりずっと小さいです。

あまりにも小さくて、自分自身の細胞を持っていません。遺伝情報だけで他の生き物の細胞に入り込んで拡がっていきます。遺伝情報だけなので生物(生きている)と言い切れない存在なのです。

私達の体にウイルスが侵入すると細胞に入り込んでウイルスの遺伝子情報のコピーが作られます。コピーが増えていっぱいになると細胞が破裂して、それが周りの細胞に入り込みます。これを繰り返すことで増殖していきます。

このように増殖した結果、咳をしたときに出る細かいツバ(=飛沫)や鼻水などにはウイルスがたくさん含まれるため、他の人へとうつっていくのです。胃腸炎のときには下痢便や吐物により拡がっていきます。

飛沫感染の図

マスクをするのは自分がうつるのを予防するためというよりも、自分から飛び出ていくウイルスを抑え込むことで自分が感染源になって周囲にうつしてしまうのを防ぐことにこそ効果があるかもしれません。

手洗い・手指消毒は 咳を押さえた手、鼻水を触った手、トイレ後の手など に付着した目に見えないウイルスが広がっていくのを抑えるため効果的です。

手洗いするヒヨコ

コロナ禍でマスク着用や手洗い・手指消毒が当たり前になりました。いつも風邪を診療している立場からすると、コロナに関係なく体調不良のときにはマスクをつけて過ごす咳エチケットのレベルでのマスク習慣や、何か行動した後の手洗い・手指消毒により風邪で困る方が減るのかなと思います。(小さな子どもや、皮膚がとても弱い方、感覚過敏の方などにおけるマスク着用は別ですが)

いずれにせよ、早く新型コロナ問題が落ち着き、以前のように友達とのびのび遊べる子どもが増えることを祈ります。

遊ぶ子どもたちの写真

風邪についてはまだまだ書くことがあります。
長くなるので、

へ続きます。

2023年春開業の小児科・アレルギー科クリニックです。
寒川・茅ヶ崎で子どもの風邪症状でお困りの方はお気軽にご相談ください。クリニックのロゴマーク

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