皆さんはいままでの人生で何回風邪にかかったことがありますか?
ほとんどの方が
「いっぱいありすぎてよく分からない」
と答えるのではないでしょうか。
成人は年に2回前後、乳幼児期は年に6〜8回と結構な頻度で風邪をひくとされています。
何回もかかってしまうのはなぜでしょうか?
風邪を引き起こすウイルスが、数え切れない程たくさんいるからです。
そして、風邪を引き起こす原因ウイルスの中でも最も多いのがライノウイルスです。今回は、ライノウイルスについてまとめました。
ライノウイルスってどんなウイルス?
ライノウイルスは英語では【rhino virus】と書きます。
rhinoとは鼻のことです。つまり、鼻症状を起こすウイルスということですね。
風邪の約50%がこのライノウイルスによるものと考えられており、風邪の原因ウイルスとして最多と報告されています。(参考:アメリカ疾病予防管理センター)
秋から春にかけて増える傾向にあるとされますが、実際には年間を通して流行します。
このウイルスには血清型が100種類以上存在するため、一度かかったとしても別の血清型に感染してしまい何度も風邪をひく原因となります。
ライノウイルスの感染経路は?
主に以下の二通りでうつります。
・接触感染:ウイルスが着いたものに触れた後、手を洗わないまま目や鼻、口を触れることにより感染します。
ライノウイルスは手足口病と異なり、乾燥した時期に流行しやすいため飛沫感染により注意が必要かもしれません。とくにライノウイルス感染では症状が軽いことも多いため自分が罹っていることに気づかないまま飛沫を撒き散らして周囲にうつしてしまうことも多いため注意が必要です。普段から咳エチケットを心がけましょう!(参考URL:あなたにもできる感染症予防)
ライノウイルスの予防法
特効薬やワクチンがないため、予防が重要です。
どのように予防するかといえば、一般的な感染症対策と変わりません。
- 手洗い → 外から帰ったら、流水と石けんで手をよく洗いましょう。※
- 顔を触らない → 目・鼻・口を手で触ると、間接的に体内にウイルスが入ってきてしまいます。
- 換気をする → コロナ禍でも言われていたように換気は感染症予防に効果大です。
- しっかり食べて、しっかり寝る →普段から体調管理を心がけてウイルスへの抵抗力を最大限発揮できるようにしましょう。
※多くのウイルスにはエンベロープというウイルス表面を守る膜構造があり、アルコールはこのエンベロープを破壊してウイルスを弱らせます。ところが、ライノウイルスにはエンベロープが存在しないため、アルコール消毒だけでは効果が期待できません。しっかりと手を洗いましょう。
ライノウイルスによる主な症状
ライノウイルスにかかっても多くは軽症(風邪)で済みます。
次のような症状が現れますが、私達が普段思い浮かべるいわゆる風邪症状です。
・くしゃみ
・鼻づまり
・咳
・のどの痛み
・発熱

初期には花粉症などのアレルギー症状と見極めがつかないこともあります。また、症状だけでは新型コロナウイルスとの区別はつかないため、周囲流行状況などは大切な情報といえます。
乳幼児の場合、鼻が詰まることで ミルクや食事がとりにくくなったり、夜眠れなくなる こともあります。
検査はできるの?
一般的には検査キットもなく、症状などから「(風邪の半分はライノウイルスなので)ライノウイルスかなぁ」と推測するにとどまります。
しっかりと確定しなくてよいか心配になるかもしれませんが、後述するように特効薬があるわけでもなく、インフルエンザや新型コロナウイルスのように定められた出席停止期間があるわけでもないので風邪とひとくくりに考えて通常は大丈夫です。
検査してライノウイルスと分かったところで治療法など対応は変わりません。しかし、近年は検査機器の進歩があり、一般クリニックでもライノウイルスの検査が可能となりました。
当院でもBio Fire Spot Fire®(スポットファイア)というライノウイルス検出可能な検査機を導入しています。
ですが、保護者目線では
「ライノウイルスだと分かったところで、対応が変わらないならば検査する必要はないのではないか?」
と思いませんか?
まさにその通りで、ライノウイルス検索のために検査をする必要はないと思います。
基本的にライノウイルスを目的として検査することはありませんが、新型コロナやその他の感染症を疑って検査をしたら結果としてライノウイルスだったとわかることはあります。
そして、対応が変わらないとはいえ、ライノウイルスと確定できることにもある程度のメリットはあります。
ということです。実際に検査機を運用してみて
「たしかに風邪の半分くらいはライノウイルスだな」
と実感しました。そして、ライノウイルスならば抗菌薬は不要だなと考えられます。
なぜならば、ライノウイルスは細菌ではないため抗菌薬は一切効果がないからです。不要な抗菌薬の使用を防ぐことができ、耐性菌の発生を抑える効果も期待できます。
では発熱や風邪症状の患者さん全員にこの検査をすればよいかというとそうではありません。もちろん、この検査にも欠点があります。
・時間がかかる(20分前後)
・高額である
・鼻から綿棒で検体採取をするので少し痛みを伴う
というデメリットもあります。
ということで、必ずしも全ての患者さんでこの検査が必要ではないことは付け加えておきます。
Spot Fire®の集計
参考までに2025年3月10日〜30日までの当院における検査結果をグラフ化したものです。
やはり、ライノウイルスが風邪の半分近くを占めるという結果でした。
ライノウイルスにかかったら?
ライノウイルスに効く薬はないため、原則は 自然に治るのを待つ ことになります。その間、お子さんが少しでも楽に過ごせるように以下の対策をしましょう。
- しっかり水分をとる
- 鼻水をこまめに吸う/拭く
- 安静にする
ほとんどの場合、ライノウイルスによる風邪は 数日〜1週間ほどで自然に回復 します。しかし、以下のような症状が見られる場合は早めに小児科を受診しましょう。
- 38.5℃以上の高熱が続く
- 息苦しそうにしている
- 水分が取れず、おしっこの回数が減っている
- ぐったりしている、反応が鈍い
- 耳を痛がる(中耳炎の可能性)
まとめ
ライノウイルスは 風邪の原因 として最も代表的なウイルスです。
残念ながら風邪の特効薬は存在しないと言われるように、風邪の代表であるライノウイルスを根本的に倒す薬や、ライノウイルスによる咳・鼻水などを完全に抑える薬は存在しません。
特効薬はありませんが、手洗いや換気など 予防策 をしっかりすることで感染拡大を防ぐことができます。かかってしまってもゆっくり休んでいれば自然に治ることがほとんどです。
今回のブログを読んでいただければ分かるように、風邪をひいても過度に心配する必要はありません!お子さんが風邪をひいたときにも焦らず対応できるように今回の記事が参考になれば幸いです。
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