前編からの続きです。前回の記事はこちらから
▶ https://samukawa-kodomo.jp/blog/2022/09/01/アレルギーについて1/
衛生仮説
20年ほど前、私が学生の頃にはアレルギーの患者さんは日本に住む人の3〜4人に1人と習いました。ところが今では日本に住む人の2人に1人が何らかのアレルギーを持っている時代です。食物アレルギー患者も増加傾向にあります。
なぜでしょうか?
残念ながら理由は完全には分かっていません。
ですが、理由の一つとして衛生仮説という考え方が提唱されておりアレルギー増加の一因であることが確実視されています。そのほかにも食事内容やライフスタイルの変化なども考えられていますがハッキリとは分かっていません。
「清潔でバイキンやウイルスが少ない衛生的な環境になるとアレルギーが増える」
という考え方です。
この考え方は複雑な免疫のシステムに関わるので詳細は省きますが、衛生仮説についてイメージで分かってもらうために以前に勉強会で使用した資料のスライドを載せます。
このように環境がよくなり、怖い感染症にかからなくなった反動とも言えます。
では、以前のように不衛生な環境がよいのでしょうか?
▶答えはもちろんNOです。
アレルギーも問題ですが、不衛生な環境で感染症が蔓延してはそれ以上に健康被害が生じてしまいます。しかも今さら私達が便利でキレイな生活を放棄して大自然の中で生きることは現実的ではありません。
と諦めますか?
いいえ、諦めるのは待ってください!
アレルギーかかりつけ医へ相談しましょう!!
アレルギーかかりつけ医
子どもたちのアレルギーはしっかりとフォローしていけばその将来は大きく改善されると私は信じています。
このような形が理想ではないでしょうか?
例えばお兄ちゃんやお姉ちゃんをアレルギーで定期的に診ているご家庭で、下にお子さんが生まれた場合は生後すぐからアレルギーフォローが可能です。実際にそういった形で相談されることは少なくありません。そのような子どもたちは生まれる前から知っているので、新生児期からスキンケアを始めたり適切な食事指導をすることで皮膚をきれいに保ち食物アレルギーのリスクを最小限にする事ができます。
例えば、食物アレルギーガイドラインには
食物アレルギーガイドライン2016ダイジェスト版
https://www.jspaci.jp/allergy_2016/chap04.html
と記載されています。生まれた頃から相談していけばこれらのリスクを最小限に減らすことで重篤な食物アレルギーの発生も最小限にすることが可能です。
食物アレルギーがあったとしても、早期介入により自然に治る可能性も上がるかもしれません。
・皮膚はきれいに保つことが可能
・食物アレルギーのリスクも最小限にできる
アレルギーの理想は個別化医療
アレルギー指導は内容だけ見ると簡単そうに見えますが、患者さんの経過や背景ごとに指導内容は大きく異なります。ガイドラインに書いてあってもその通りにあれるぎやればすべてうまくいくわけではありません。
例えば
年齢、身長、体重、性別 といった問診票に書いてあるようなことから
遺伝子情報、既往歴や合併症、食事の好み、宗教や信念、住環境、職業、治療への反応など注意して聞かないとわからないことまであります。
個別化医療
とは患者さんごとに全く異なるこれらの背景を考慮して一人ひとりに合った医療を提供しようという考え方です。
アレルギー診療には豊富な経験と知識、そして患者さんの背景まで考慮した個別化医療が理想だと私は考えています。
なかなか難しい取り組みですが、
治療方針や指導というたくさんある道の中から、その子に合った道案内をするのが
アレルギーかかりつけ医
だと思います。これから重要になってくると信じています。
私も信頼されるアレルギーかかりつけ医になれるように努力したいと思います。
2023年春開業の小児科・アレルギー科クリニックです。
寒川・茅ヶ崎でアレルギーにお困りの方はご相談ください。